2016.1.8
皮膚科医片山先生に聞く「膣カンジダ症について」
皆さん、「腟カンジダ症(「カンジダ膣炎」とも)」という名前を聞いたことがありますか?
最近、クリニックを訪れる方が増えた原因の1つにあげられます。
腟カンジダ症は、腟内でカンジダ菌が異常に増殖することで起きる、婦人科領域ではポピュラーな疾患です。多くの女性が、一生に一度はかかるともいわれています。
症状としては、豆腐やカッテージチーズのような白いボロボロしたおりものが増え、ひどくなると膣の入り口や外陰部に強いかゆみを伴います。
誤解されやすいのですが、これは性感染症ではありません。性交渉がなくても起こる病気です。
カンジダ菌は性器の粘膜周辺や消化管、皮膚などに存在する常在菌で、健康な人も持っています。疲れやストレスがたまっていて抵抗力が低下している場合などに、カンジダ菌が増殖することが原因になります。
カンジダ菌は、ふつう膣には棲みついていません。腟内にはデーデルライン桿菌と呼ばれる細菌が常在しており、腟内を強い酸性状態に保って他の菌を寄せつけないようにしているからです。
しかし、何かのきっかけで腟内のバランスがくずれると、カンジダ菌が侵入して膣カンジダ症を引き起こすのです。
自然治癒する場合もありますが、なかなか治らない時には、恥ずかしがらずに検診を受けましょう。膣の中を洗浄し、抗真菌剤を膣の奥に挿入する治療で、病状は3~5日で良くなり、1週間から10日ぐらいで完治します。
長期間にわたる風邪薬などの抗生物質やステロイド剤の服用によっても、膣カンジダ症になることがあります。
また、デリケートゾーンを洗浄力の強いボディシャンプーや石けんで過剰に洗うことで本来のバリア機能が失われて、カンジダ菌の増殖につながることもあります。
風邪にかかりやすいこれからの季節、特に疲れやストレスをためないなどの注意が必要ですね。
栄養バランスを考えた食事、十分な睡眠、適度な運動、そして正しいデリケートゾーンケアを心がけましょう。
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片山聖子 医師
皮膚科医
日本皮膚科学会専門医
美容皮膚科医
日本美容皮膚科学会会員
横浜市立大学医学部卒業
東京慈恵会医科大学病院や東邦大学大橋病院で皮膚科医として勤務。