女性の間でよく耳にする『ピル』。
そもそも『ピル』とはどういったものかご存知でしょうか?
目次
生理とピルの関係
排卵と生理のサイクルに大きな影響を及ぼしているのが、2種類の女性ホルモンです。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つがあり、
この2つの女性ホルモンの分泌によって、卵胞が大きくなり排卵がはじまります。
排卵すると、子宮内膜を厚くし、受け入れ態勢を整えて受精卵を待ちます。
卵子が受精しなかった場合は、準備した子宮内膜が不要となり、はがれて体外に排出されます。
これが生理です。
ピルは、卵巣でつくられる女性ホルモンの『エストロゲン』と『プロゲストロン』が配合された薬です。
生産初期はホルモンの配合量が多い高用量ピルであったため、副作用の問題などがありました。
そこから中用量ピル、低用量ピルと副作用の少ないピルが開発され、避妊薬以外にも多くの利点があるものになってきたのです。
ピルを使う3つのメリット
ピルの服用は、女性にとって多くのメリットがあります。
1. 生理痛を和らげる
生理痛の主な原因は、子宮内膜がはがれて血液とともに押し出される際に、子宮が収縮することです。
この収縮を促すのが『プロスタグランジン』と呼ばれるホルモン物質で、
これが必要以上に増えると子宮の収縮が強くなり、痛みや不快感が生じます。
一方、ピルに含まれる女性ホルモンは、子宮内膜の成長を抑え、『プロスタグランジン』の分泌量を減らします。
その結果、生理時の子宮収縮が軽減され、生理痛が和らぐのです。
2. PMS(月経前症候群)の軽減
生理前のイライラを含めた不快症状をPMS(月経前症候群)といいます。
・情緒不安定(イライラや憂鬱など)
・眠気や不眠
・にきびなどの肌あれ など
PMSの要因は、『エストロゲン』と『プロゲステロン』の過剰な分泌で起こります。
この2つの女性ホルモンの分泌量の増減の幅が大きいほど、PMSの症状が重くなると言われています。
ピルを服用することで、『エストロゲン』と『プロゲステロン』の分泌が抑制されます。
体内の女性ホルモン量が安定することで、体調や精神面を一定の状態に保ちやすくすることができるのです。
3. 生理周期の安定
生理不順や生理痛が起こることには、排卵の乱れが関係しています。
ピルの作用で排卵を抑制すれば、生理不順や生理痛など月経に関する悩みが改善される可能性があります。
ピルに含まれる女性ホルモン『エストロゲン』と『プロゲストロン』は、排卵の抑制を促します。
これらの作用によって生理痛や月経不順などが改善され、生理周期が安定することがあります。
ピルの注意点
メリットが多いピルですが、その反面デメリットもあります。
2つの女性ホルモンを摂取するため、その反動で副作用を引き起こす可能性も報告されています。
人によっては血栓症のリスクが高まる恐れもあるので、必ず医師に相談をしましょう。
【よくある副作用】
・吐き気や頭痛
・下腹痛や不正出血
・むくみ など
通常は、ピルの服用を開始から2~3か月以内に収まると言われています。
症状が改善されない場合は必ず医師に相談しましょう。
ピルの種類を変えるか、他に病気がないかチェックしてもらいます。
また、ピルは毎日決まった時間に服用しなければ効果が期待できません。
処方されたピルのシートに、ナンバーや日付が書かれているものもあります。
どうしたら飲み忘れを防止できるのか、自分にあった方法を考えましょう。
急なホルモン変化には、毎日のデリケートゾーンケアが重要
ピルの服用で体内のホルモンバランスが変わると、デリケートゾーンの環境は変化しやすくなります。
女性ホルモンのエストロゲンには、膣内粘膜のうるおいを保ち、身体組織全体のコラーゲン合成を促す作用があります。
ピルの服用によりエストロゲンの分泌量が抑えられると、膣内の粘膜が乾燥し皮脂や、おりものの分泌に影響が出やすくなるのです。
常に清潔でうるおったデリケートゾーンを保つためには、毎日のケアが重要になってきます。
【デリケートゾーンのケア】
①弱酸性のソープで丁寧にあらうこと。
②丁寧に洗浄成分が残らないようぬるま湯で流しきること。
③デリケートゾーン専用の保湿剤で保湿すること。
ピルを飲んでいるからと安心せず、デリケートゾーンのケアは普段から意識しましょう。
おりものの状態や乾燥などに気づきやすくなり、未然にトラブルを防ぐきっかけになります。
まとめ
重い生理に排卵痛、PMS(月経前症候群)に悩んでいる方は、一度ピルの服用を医師に相談してみましょう。
ピルの服用で、生理痛や排卵痛など緩和されることがあります。
女性ホルモンのバランスが安定することで、PMS(月経前症候群)も軽くなり、心も安定した状態になります。
重い生理に排卵痛、PMS(月経前症候群)などの悩みがある方は、医師へ相談したうえで、ピルの服用という選択肢があるかもしれません。
からだをいたわり、ご自身にあった方法を考えてみてくださいね。